日本酒の冷蔵
ワインはコルクに呼吸をさせる必要がありますが、ワインと違って湿度を管理しないので、日本酒には外の湿度がは関係ありません。外の湿度影響を受けないようにしている、蔵元の密封技術は総じて高いと言えます。
一般的な日本酒は-7℃から凍り始めます。凍らせた日本酒を解凍して飲むと、渋みやえぐみが出る場合があります。おそらく熟成過程で形成されたアルコール・水のクラスターが破壊されたのでしょう。クラスターによるまろみが消えて、味のマスキング効果が薄れたため、渋みとえぐみが表れてしまったと思います。
したがって、日本酒には凍らない、-5℃~0℃と言ったチルド温度帯が一番良いと考えられています。
冷蔵庫・冷凍庫
冷蔵も冷凍も、冷えたもの、凍ったものを入れる保管庫です。特に冷凍庫は、凍らせたりするモノではありません。(凍らせる機械としては、ショックフリーザーや凍眠があります)
冷気を作り出し、ファンによる空気循環を⾏い庫内を冷しています(⼀部機種に⾃然滞留あり)。冷気は重く下に貯まりやすいので、下部の温度が低くなります。7℃程度あります。温度ムラの解消のために工夫されている冷蔵庫があります。ファンの配置や内容物位置や量によって、解消程度が変わります。
クーラーの吹き出し口で寒い思いをした経験があるはずです。場所によってはこの現象が瓶入りの酒について起こります。温度差によって瓶内で対流が生まれ、ゆっくりと静かに寝かせることを邪魔して健全な熟成を妨げる恐れもあります。
業務用と家庭⽤との違い
業務用は、コンプレッサーという機械の出⼒が強くなっています。さらに、外装や内装にステンレスを使⽤しているため、強度、衛⽣⾯に優れています。
冷気を作り出すには、業務用ではフロンガスという冷媒を使⽤しています(家庭用はノンフロン)。廃棄の際は、必ず資格を保有しているフロン回収業者に依頼してください。
凍らせる機械
特徴は、冷却速度が速く、氷核が成長しないので、細胞を壊しません。菌の増殖する温度帯を素早く通り過ぎるため、増殖が抑えられます。温度設定にもよりますが、リステリアモノサイトゲネスの不生育条件(-0.4℃未満)にも早く到達します。
冷気を品物に当てるタイプと、液体を使って冷やすタイプ「凍眠など」があります。
液体は、空気よりも比熱の大きい(熱の取込が速い)ので、液体を使って冷やすタイプのお方が、高い冷却速度を達成しています。
凍眠の凍結コストは、一般冷却機の5円/kgよりやや大きく5~8円/kgとなり、適切なコストと言えます。
まとめ
当社で紹介する機械は、メンテナンス性もよく耐久性もあります。その上で、温度差の小さい、速く冷える等の利点を有しています。大きさ等にご要望がありましたら、お問合せくださいませ。
一つの提案として、火入れ後のゆっくりとした冷却で変化してしまう酒質を、凍眠を約-5℃に設定して、急速冷凍することで酒質を高度に保つことはできないだろうか?
文責 渡辺勝也
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